2014年6月4日水曜日

【Kindle本】梶井基次郎

晴耕雨読。というよりも、晴れてても雨でも読書。といったところ。
この頃はキンドル・ペーパーホワイトを持ち歩き、電車でも会社でも(もちろん休憩時間ですぞ)開いて読んでいます。周りが少々暗くても、つまり周りの環境に左右されずに読書できるという点で、外出先で読むのに適していますね。それになんといっても「軽い」です。測ってみたら、新書と同じくらいの重さしかありません。それで長編小説などが入っているわけですから。
というわけで、ともかくアマゾンの無料本をちょくちょくとダウンロードしては読んでいます。
わざわざ図書館で借りたりはしないけれど、有名ドコロだからどんな話か読んでみよう、という作家ならちょうどいいですね。著作権も切れているらしいし。

で、とにかくせっせとダウンロードしたのが梶井基次郎。
日本史の、文学史で名前は出てくるけれど、そして「檸檬」は有名だけれど、その他の作品はどんなものなのか。生涯が短かったし、作品も短編しか残されていない。まとめて読むにはちょうどいいかも。

というわけで、初めて読みました。自分の心情を吐露するばかりの私小説。太宰治的だけれど、もっと粘着質。なるほど、こういう話を書いていたのか。ちょっとインテリ臭さがあるけれど、常人の感覚を超えた感覚というものがあるみたいで、こういうの好きですね。

梶井基次郎:
【闇の書】【奎吉】【筧の話】【川端康成第四短篇集「心中」を主題とせるヴァリエイション】【矛盾のような真実】【海】【ある心の風景】【橡の花】【路上】【Kの昇天】【温泉】【泥濘】【冬の蠅】【交尾】【冬の日】【過古】【雪後】【蒼穹】【城のある町にて】


引き続いて、夏目漱石をまとめて読書中です。Kindleだと「あと何ページかな」などと考えずに読むことになって、これがわたくしには結構よろしい。長い小説が、本だとその分厚さを見て、あとどれくらい読まないといけないな、と思ってしまうので。まあKindleでも画面の端っこに「読み終わるまで●●分」と表示されるのですが。

2014年6月2日月曜日

5月の読書

もうほとんどマンスリーになってしまいました。最近暑くて書きこみする気力も失われがち。まあ何とか生きて、本文読んでます。そこそこ。

【ランチのアッコちゃん】柚木麻子(双葉社)
 女子OLの自分探し小説。ちょっとドラマっぽい。それも最近の。というわけで、それが好きか嫌いかで、この小説も好きか嫌いかが分かれそう。わたくしは。。。もうちょっと変わった話のほうが好きです。

【おはなしして子ちゃん】藤野可織(講談社)
 「爪と目」以外は、まあまあかなと思っていたこの作家。どうしてどうして。なかなか面白いものを書くじゃあありませんか。ちょっと気持ち悪いというか、ぞっとするような内容もあって、こういうの好きです。(好き嫌いがはっきりしています。はい)

【縮みゆく男】リチャード・マシスン(本間有訳・扶桑社)
 古典的SF。毎日数インチずつ小さくなっていく男の話。単純なホラーかと思いきや、社会の病質や人間の弱さ(強さも)を描き、ラストはどこか宗教的な色合いさえある。

【聞く力-心をひらく35のヒント】阿川佐和子(文春新書)
 ベストセラーになりましたな。話の内容もさることながら、この人の語り口は絶妙。面白がらせてためになる。ベストセラーになるのも納得。聞く力は、わたくしには役に立ちそうもありませんが、中身の面白さは抜群です。

【アグリーガール】ジョイス・キャロル・オーツ(神戸万知訳・理論社)
 キャロル・オーツのヤングアダルトもの。原題は「アグリーガールとビッグマウス」。いつも面白おかしい話ばかりしている少年が、そのジョークのおかげで窮地に立たされる。そうすると、いままでそのジョークで楽しんでいたはずの周りの人間から疎ましがられてしまう。そこで味方になってくれたのは、普段はほとんど話しもしたことのないクラスメート「アグリーガール」。青春モノだけれど、どこかに社会の矛盾を厳しく問いただしているようにみえるのは、やはりキャロル・オーツだからか。

【吸血鬼カーミラ】レ・ファニュ(平井呈一訳・創元推理文庫)
 超古典ホラー。吸血鬼モノの元祖と言われる表題作をはじめとする短篇集。あからさまに「怖い」というのではなく、なんとなく「ぞっとする感じ」。ただ、この翻訳は古臭くて話にならない。それを我慢して読むこと。

【ポースケ】津村記久子(中央公論社)
 五位堂ですか。ローカルですね。自分探し、に近いんだけど。

【タイム・マシン他九篇】H.G.ウェルズ(橋本槇矩訳・岩波文庫)
【モロー博士の島他九篇】H.G.ウェルズ(橋本槇矩・鈴木万里訳・岩波文庫)
 SF古典。最近のマイブームです。どれも素晴らしい、という訳にはいかないですね、さすがに。今読むと「なんと古臭い!」と思わず言ってしまいそう。それでも精一杯の「科学的根拠を持った小説」にしようとする試みは読み取れます。まさに古典。

【ライトノベル創作教室】ライトノベル作法研究所(秀和システム)
 ライトノベルの書き方のコツ。なんだけど。同時に「ライトノベルの構造論」になっているところが面白かった。どういう具合にできているのか、がよく分かる。ライトノベルの「読み方」の参考にもなるかも。でも、「もういいか」という気にもなるから、注意。

【何者】朝井リョウ(新潮社)
 直木賞受賞作。就活する学生たちの奮闘。悩み、苦しみ、迷いながら、自分がなりたい「何者」かを探す日々。ああ、青春ですなあ。とはいっても、わたくし「就活」というものをほとんどしたことがないので、実感というか、共感はあまりできませんでした。でもいろんなことに悩んでいた学生時代のことは、ちょっと思い出しましたよ。就活をしていないわたくしにもそういう感情を呼び起こさせるくらいによくできた作品、ということなんでしょう。ああ、甘酸っぱいですなあ。